1. 10億ドル企業に成長


 Linuxの今年の最も顕著な成果は、米国Red Hatが2012年度決算(2012年2月末締め)で、オープンソース専業企業として初めて10億ドルを超す売上高を達成したことかもしれない。これは同社にとって長年の悲願だった。

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 この成果は、Red Hatの経営力の証であるだけでなく、Linuxで利益をあげられることの証でもある。これは、このプラットフォームに対する今後のビジネス上の関心の喚起という点で、大きなプラスになるだろう。


2. デジタル・デバイドの解消に貢献


 デスクトップLinuxの支持者は、そのメリットと普及について労を惜しまず議論するが、その一方で業界では、この技術を巡る重要な変化が静かに始まっている。


 すなわち2012年には、100ドル未満という安価な超小型のLinux搭載PCが続々と市場に登場した。強力なコンピューティング・パワーがガジェット・ファンだけでなく、従来はコスト的に厳しかった人にも入手しやすくなっている。


 この動きはコンピューティングにおける真の革命であり、膨大なAndroidユーザーのほかにもさらにLinuxユーザーのすそ野を広げている。のみならず、デジタル・ディバイドの解消に大きな役割を果たしつつあるのは間違いない。


3. ゲーム会社も注目するOSに…


 ゲーム・プラットフォームは、ビジネス界の多くの人にとってあまり重要ではないかもしれない。しかし、ゲームを非常に重視するPCユーザーもかなりの数に上る。実際、何年も前から多くの人が、Linuxに乗り換えない大きな理由として、対応ゲームが比較的乏しいことを挙げている。


 だが、今年はこの状況が一転した。米国Valveが、Windows 8の“大不振”などを理由に、「Steam」をLinuxに移植すると発表したからだ。


 最近の報道によると、米国THQも同様の取り組みを検討しているという。


 これらのことは、Lunuxユーザーの市場が、対応に値すると目されるようになっていることを示している。また、このことは、将来、幅広い分野で優れたアプリケーションが多数登場するであろうことを意味する。


4. プリインストール製品の増加


 2012年には、Linuxがプリインストールされたハードウェアも大幅に増えた。Linux製品を専門に手がける米国ZaReason、米国System76、米国ThinkPenguinなどだけでなく、台湾Asusや米国Dellといった企業もこうしたハードウェアを提供している。


 そうした新製品が1つ登場するごとに、消費者の選択肢が広がることになる。


5. チャンス到来――攻めに転じられるか


 米国Microsoftの期待に反して、Windows 8に市場が冷ややかな反応を示していることが明白になってきている。Linuxにとってはまさにチャンスだ。実際、英国Canonicalの人気Linuxディストリビューションの最新版となるUbuntu 12.10(コード名:Quantal Quetzal)は多くの点で、とりわけビジネス・ユーザーの観点から見て、Windows 8より優れている。


 もちろん、強力な慣性の作用により、Windowsの市場支配はまだ何年も続くだろう。


 それでも、Windows 8のリリースとともに状況が変わり、デスクトップLinuxが互角の戦いを演じ始めていると、私は考えている。2013年以降の展開にも目が離せない。

(Katherine Noyes/PC World米国版)