SteelSeriesティノ・ソルバーグCTOが最新ゲーミングデバイスをアピールハイエンドワイヤレスヘッドセットも準備。ゲームとデバイスの未来を語る

 SteelSeriesは12月13日、新型ヘッドセット「steelseries Siberia Elite」の国内販売を開始した。このタイミングに合わせ、SteelSeriesのCTOであるティノ・ソルバーグ氏が来日。国内では来年春の発売を目指しているホーム・エンターテイメント向けのハイエンドワイヤレスヘッドセット「steelseries H Wireless」を含め、最新のヘッドセット開発についての取り組みを紹介した。

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 SteelSeriesはデンマーク・コペンハーゲンに本拠を置き、ゲーミングマウスやマウスパッド、ゲーミングヘッドセットを専門的に開発・販売しているゲームデバイスメーカーだ。2001年の創業以来、欧米のe-Sportsシーンと共に成長してきた経緯もあり、スウェーデンのプロゲーマーチーム「Ninjas in Pyjamas(NiP)」の長期スポンサーを務めるなどの活動から、特にFPSのコアプレーヤーから高い認知度を獲得している。


 今回来日したティノ・ソルバーグ氏はソフトウェアおよびハードウェア開発、またサウンドエンジニアリングの専門家で、SteelSeriesの創業時より製品デザイン・開発・マーケティングと幅広く携わってきた人物だ。2009年からはCTOとしてあらゆる製品の開発と販売戦略を監修している。


 GAME Watchでは新作ヘッドセットについての話題に加え、次世代機の登場など激変の渦中にある業界にSteelSeriesがどう対応し、ユーザーに何をもたらしてくれるのか、そのあたりも聞いてみた。


■ 質実剛健ながら多機能+高品質な新型ヘッドセット


□ 7.1chハイエンドモデル「Siberia Elite」


 まずは最新製品から紹介していこう。12月13日に発売された「Siberia Elite(以下『Elite』)」は、SteelSeriesによるハイエンドヘッドセットの長い歴史の集大成となる製品だ。


 2004年に発売された初代「Siberia」から、2012年の「Siberia full-size headset V2」まで、SteelSeriesによるフルサイズヘッドフォンタイプの製品は基本的に初代のデザインを踏襲してきた。外側が網目となっている半開放型のイヤーカップがその特徴のひとつだろう。


 新製品の「Elite」ではそのデザインを見なおし、全く新しい外観となっている。サウンドドライバーは従来と同じく50mm経となるが、イヤーカップが完全密閉型となり、よりパワフルなサウンドを表現できる。サウンドエンジンはDolby ProLogic IIxに対応し、7.1チャンネルのサラウンドサウンドを再生する。驚くほど音の定位がハッキリとした音質だ。


 さらに設計面で面白いのは、イヤーパッド部にボリュームコントローラーを内蔵したこと。イヤーカップの外側、LEDが光る円状のパーツを回転させることで音量調節およびマイクのON/OFFが可能。マイクは格納式であり、純粋なヘッドフォンとしても使える。


 USBサウンドカードが付属しており、DolbyProLogic IIxのサウンドはそちらで処理される仕組み。ヘッドフォン部との接続はMicro-USBで完全デジタル方式となっているのも特徴で、アナログノイズの全くないクリーンなサウンドを楽しめるという仕様だ。付属の変換ケーブルでアナログ接続することもでき、別環境では通常のアナログヘッドセットとしても使える小回りの良さも併せ持つ。


 仕様が本格派ともなれば価格も22,800円と、オーディオ向けのハイエンドヘッドフォン並み。筆者はここ数日、本モデルを試用しているが、音声品質は極めてクリアで“全ての音の粒がクッキリ聞こえる”という感じである。この特性のため、ストーリーを追うタイプのゲームでボイスオーバーが“いかにもスタジオ録音した感じ”に聞こえたり、音楽の鑑賞時には少々ガチャガチャとうるさい感じがするのが難点だが、それだけオーディオソースの情報が忠実に伝わっているように感じられる。ゲームサウンドの持つ記号性を伝えることに特化した製品と言えるだろう。


□ 低遅延&高音質のワイヤレスヘッドセット「H Wireless」


 「H Wireless」は来年春の発売に向けて準備中の製品で、Dolby Pro Logic IIx 7.1chサラウンドに対応したホーム・エンターテイメント向けの最高級モデル。SteelSeriesのヘッドセット製品としては珍しいワイヤレス方式となるが、これまでの製品がほぼすべて有線タイプだったことにはにはきちんと理由がある。


 それは遅延と音質の問題だ。一般的にワイヤレスヘッドセットはデバイスの通信にBluetoothを用いるため、100〜200ミリ秒という大きな遅延が発生する。また、帯域の制限からオーディオ信号が不可逆圧縮されるため、全体的に音質が“ぬるい”感じになることが多い。銃声や爆発音、足音など、高周波成分の情報が多いゲーム向けのヘッドセットとしては、これらの弱点は致命的である。


 そこでSteelSeriesでは、本製品において2.4GHz帯を用いる独自の無線方式を採用。これにより広帯域が確保され、オーディオ信号は無圧縮で送信されるため音質の劣化はなく、またティノ氏によれば遅延も60ミリ秒に抑えられるという。


 また、Bluetoothでは無線の通信状況が悪い場合にチャンネルを切り替えて再送信する仕組みがあり、これがラグや音の途切れといった悪影響を生み出すが、SteelSeriesの方式では30ミリ秒ごとに自動でチャンネルを切り替え続けるメカニズムを実装し、無線環境が悪い場合でも途切れのない、低遅延のオーディオを提供するという。


 この無線プラットフォームとなるのが付属のオーディオコントロールボックスだ。OLEDディスプレイに様々な情報が表示され、ボタン操作でオーディオモードの変更等の操作ができる。また、内蔵DSPによりボイスチャットの音声を検出すると自動的にゲーム側の音量を下げ、チャットを聞き取りやすくする機能“LiveMix”も備える。この機能もボタン操作でどの程度効かせるかを調整できる。


 付属ケーブルを使えば有線タイプのアナログ/オプティカルヘッドセットとしても使えるハイブリッド仕様となっており、使い回しの良さも「Siberia Elite」と同等のハイスペックヘッドセットとなっている。


 無線を採用したことも含め、製品デザインとしてはリビングでの利用を念頭に置いたものになっている。来年2月には日本でもプレイステーション 4が発売されるが、そのタイミングに間に合えば人気の製品になりそうだ。発売日・価格は現在のところ未定。先行発売されたユーロ圏では299.99ユーロで販売されており、そのスペックに比例して国内でも相当な価格帯のハイエンド製品となりそうである。


■ ドライバのLinux対応も至近に? ティノ・ソルバーグ氏ショートインタビュー


──SteelSeries製品は質実剛健というイメージが強く、数年前、御社は「デバイスを光らせる必要なんてない!」と言っていたほどですね。最近ではその点がかわり、今回のヘッドセットも派手にLEDが光っているようですが、このあたり心境の変化があったんでしょうか?

ティノ・ソルバーグ氏:もちろん、本当に意味のある機能しか実装しない、という哲学は守り続けています。LEDに関しても、機能上の必要に合わせて入れています。例えばマウスでは動作モードの表示や、暗い場所での個体の識別などですね。今回の「Siberia Elite」についても同様の考えでフルカラーのLEDを実装しています。

──SteelSeriesの製品はPC向けというイメージが強かったのですが、今回のワイヤレスヘッドセット製品はコンソール向けを強く意識していますね。今後もPC以外のマーケットへの展開を強化していく予定ですか?


ソルバーグ氏:詳しいロードマップはお話できませんが、もちろんコンソールへの対応には注力していくつもりです。またAndroidやiOSもゲーミングの重要な分野となってきていますので、最近ではモバイル向けのゲームコントローラー(※steelseries FREE Mobile Wireless Controller)や、タッチスクリーンをボタン化するガジェット(※SteelSeries FREE Touchscreen Gaming Controlls)などの製品も開発・販売しています。

──モバイル向けゲームコントローラーは広くBluetoothが利用されていますが、遅延などの問題はないのでしょうか?

ソルバーグ氏:我々のヘッドセットで2.4GHz帯の無線方式を採用したように、Bluetoothはたくさんの帯域を使うオーディオ向けには適切ではありませんが、ゲームコントローラー用途であれば十分な帯域を持っています。遅延も問題ないレベルですので、我々もモバイル向けのゲームコントローラー製品ではBluetoothを利用していますよ。むしろモバイル向けでの製品では携帯性に重点を置いていまして、ポケットに入るようなスマートなデザインと操作性の両立を追求しています。


──最近では据え置きコンソール、モバイルプラットフォームに加えて、PCベースのゲームマシンという概念が現実化してきました。例えばValveのSteam Machinesですが、もうじき製品が世にでることになりそうです。この流れについてSteelSereisでやりたいことや、すでに取り組んでいることはありますか?

ソルバーグ氏:もちろんです。私達は以前よりValveと密接に仕事をしてきました。「Dota」や「CS:GO」用のヘッドセットやマウスなどの製品などですね。Steam Machinesが市場に革命を起こす存在となることは間違いないと思います。我々も確実にそのサポートをしていきます。現在はsteelseries EngineのLinux版の開発に取り組んでいるところで、これはSteam OS上で動作するものになります。これについては元々WindowsとMacで動作しているクロスプラットフォームのソフトウェアですので、難しいことは何もないですね。

──ゲーミングデバイスの専門家として、Valveが開発した新型のゲームコントローラー「Steam Controller」についてはどんな感想ですか?

ソルバーグ氏:まだごく短い時間しか触れていないのですが、予想とは全然違いましたね。思っていたよりもずっと快適に操作できました。この点でも彼らは革命を起こしそうですね。数日前にSteam Machinesのβハードウェアの配布が始まっているので、今後数週間のうちにもっと多くのことを知ることになると思います。

──そのSteam Machineも含めて、2013年はAndroidベースの「SHIELD」や「OUYA」など新機軸のゲームマシンが登場してきた年になりました。2014年はどのような年になると見ていますか?

ソルバーグ氏:私達は常にマーケットで何が起きているのか注視し、もちろん新しいプラットフォームには強い関心を抱いています。昨年はAndroidとiOS対応の「Free」という名前のコントローラーや「Flux」シリーズのインイヤーヘッドセットを発売しています。これらのモバイル・プラットフォームは、間違いなく将来さらに大きな役割を果たすことになるでしょうし、私たちはその開発の最前線にいることになると思います。

 SteamについてはこれまでValveと協業してきたこともあり、対応の準備はできています。ほとんどの製品はSteam OSでプラグ・アンド・プレイできるようになっていますし、近い将来にはsteelseries Engine3が利用できるようになるでしょう。

──最後に、今後、SteelSeriesが向かっていく方向性について教えて下さい。

ソルバーグ氏:市場が広がるにつれて、デバイスメーカーとしてより多くのライバルと競争していくことになります。その中でも私達はこれまでと同じように、製品の品質にフォーカスしていこうと考えています。スペックシート上の見栄えの良さではなく、本当に意味のある仕様を追求していく、ということです。それがゲーマーの皆さんの日々の体験を向上させることに繋がると信じています。



【GAME Watch,佐藤カフジ】

Linux向けHyper-Vインテグレーションサービス3.5登場

MicrosoftはHyper-Vで動作するLinuxディストリビューション向けの統合サービスの最新版となる「Linux Integration Services Version 3.5 for Hyper-V」を公開した。Integration ServicesをインストールすることでHyper-Vで動作するLinuxディストリビューションはより高い性能を発揮できるようになるほか、ホストのWindowsとのより多くの機能で連携して動作するようになる。


「Linux Integration Services Version 3.5 for Hyper-V」のサポート対象となるLinuxディストリビューションは次のとおり。


・Red Hat Enterprise Linux 5.5〜5.8、6.0〜6.3 x86版およびx64版

・CentOS 5.5〜5.8、6.0〜6.3 x86版およびx64版


対象となるホストは次のとおり。


・Windows Server 2008 R2 Standard

・Windows Server 2008 R2 Enterprise

・Windows Server 2008 R2 Datacenter

・Microsoft Hyper-V Server 2008 R2

・Windows 8 Pro

・Windows 8.1 Pro

・Windows Server 2012

・Windows Server 2012 R2

・Microsoft Hyper-V Server 2012

・Microsoft Hyper-V Server 2012 R2


「Linux Integration Services Version 3.5 for Hyper-V」をインストールすることでより性能が発揮できるデバイスドライバを使用できるようになるほか、起動処理の高速化、ホストとシャットダウン処理の連動、SMPサポートの向上、ハードビート機能のサポート、ライブマイグレーションのサポート、ジャンボフレーム機能のサポート、VLANへの対応、VHDXファイルのリサイズのサポート、ライブバックアップ機能のサポート、メモリ使用の改善、グラフィック性能の向上、PAEカーネルのサポートなどが実現できるようになる。


(後藤大地)

iFI-AudioのUSB-DAC内蔵ポタアン nano iDSD 発売、ハイレゾ対応ウォークマンとのデジタル接続が可能

英 iFI-Audio の USB-DAC 内蔵ポータブルヘッドホンアンプ、nano iDSD が国内発売を迎えました。PCM 方式で 384kHz / 32bit、DSD では 6.2MHz までのハイレゾ音源に対応し、iOS / Android デバイスやソニーのハイレゾ対応ウォークマンなどとデジタル接続・再生ができます

最近はポータブルヘッドホンアンプでもハイレゾ再生対応の USB-DAC を内蔵するものが増えてきましたが、多くは市販のハイレゾ音源に多い 96kHz もしくは 192kHz までしか対応しません。iFI-Audio nano iDSD は 384kHz / 32bit に対応するほか、その名のとおり DSD 再生にもネイティブで対応します。

iFI-AudioのUSB-DAC内蔵ポタアン nano iDSD 発売、ハイレゾ対応ウォークマンとのデジタル接続が可能

一般的な USB-DAC として PC に接続できるのはもちろんですが、家で使っているだけならポータブルである必要はありません。nano iDSD は、カメラコネクションキットなどを介して iOS 7 搭載デバイスとデジタル接続できるほか、Android 4.1以降を搭載するデバイスとも OTG ケーブルを使ってデジタル接続が可能です。さらに国内代理店のトップウイングでは、ソニー純正の WM Port - USB 変換ケーブル WMC-NWH10 を使えば、ハイレゾ対応ウォークマン NW-ZX1、NW-F880 とも接続してハイレゾ再生ができるとしています。


DAC にはバーブラウン製チップセットを使用し、再生可能フォーマットは PCM 方式なら 384kHz / 32bit まで、DSD は最高 6.2MHz、DXD は 384kHz まで対応します。


Windows には専用のドライバーを提供。最新版のバージョン 2.15.0 ではアシンクロナス伝送、WASAPI、ASIO2.3などに対応します。ただし DSD音源の出力は PCM 変換される DoP 方式。なお、Mac や Linux ではOS標準ドライバーが対応するので、接続するだけで動作します。


入力は USB 3.0。iOS デバイスとはカメラコネクションキットまたは Lightning-USB 変換ケーブルで接続可能。内蔵のヘッドホンアンプの出力は 80mW。3.5mm ステレオミニのヘッドホン出力、SPDIF 出力端子、アナログライン出力端子を搭載します。


バッテリーによる連続再生は約10時間。充電は USB 端子から行います。


価格は2万6250円。ハイレゾ音源の再生能力や接続可能デバイスの多さ、ソニーの PHA-2 が実売で4万円台後半〜5万円ほどすることを考えれば、なかなかのコストパフォーマンスです。
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